このサイトの説明

社会科学研究会ピース・ナビからのごあいさつ

このパネル展は、2021年4月から10月まで、奈良県で行われた、巡回展「先住民族アイヌは、いま」の内容を引き継ぎ、京都大学の学生サークル「社会研究会ピース・ナビ」が京都大学の学園祭(NF)で行うオンライン企画展です。

10章までは、巡回展のパネルの内容を紹介しています。「学知の植民地主義を問う」のコーナーでは、京都大学をはじめとする大学や研究機関が保管するアイヌや琉球人の遺骨について、「学問」の名のもとに正当化されてきた植民地からの収奪を問いただす立場から、社会科学研究会ピース・ナビのメンバーが追加制作したパネルを掲載しています。

社会科学研究会ピース・ナビはこれまで、アイヌの権利運動や遺骨返還運動にそれほど積極的に取り組んできたわけではありませんでした。しかし、奈良でパネル展を見たサークルメンバーから、「このパネル展を大学でも行いたい。」という意見が出て、それは可能かとお尋ねしたところ、その場で実行委員会の皆様との話し合いを設けていただき、京都大学の学園祭のいち企画として、パネル展を行えることになりました。その後、学園祭自体がコロナ対策として完全オンライン形式となったため、このようにWeb上にてパネル展を開催することになりました。

事前学習会を重ね、追加パネルを製作する中で、これまで知らなかった様々な事実や歴史を学び、自分たちの無知を恥じ、京都大学の構成員として、大学が遺骨を収集したこと、さらには返還を求める当事者たちの声に真摯に対応してこなかったことに強く責任を感じます。

本当に、申し訳ありませんでした。

今後も、大学の構成員として、大学に調査・謝罪・返還を求め、「学問」の名のもとに人々の尊厳が踏みにじられることがないように、自らをかえりみつつ、行動していこうと思います。

2021年11月19日
社会科学研究会ピース・ナビ 一同

「先住民族アイヌのいまを考える会」からのごあいさつ

先住民族アイヌが住んでいた大地はアイヌモシと呼ばれ、アイヌ民族はそこで独自の文化を築き生活してきました。あらゆるものにカムイの存在を認めるアイヌは、カムイと共生し、また、民族の文化を伝承することで、子どもに民族の精神や自然との共存を教えました。

 言葉を媒介とした語りで子どもの心を豊かに育んできた口承文芸。自然の恩恵に浴したことに心から感謝し、再来を願ってうやうやしく神の国に送り返すイオマンテ。
 この深い、いのちへの愛と祈りに満ちたアイヌ民族の文化と世界観には、自然の中で生きていく人間本来の姿が見られます。

 世界の先住民族の生存や尊厳、自決に関する権利を規定した「先住民族の権利に関する国際連合宣言」が、2007年に採択されました。この宣言に日本も賛成しましたが、2019年に施行された「アイヌ施策推進法」は、アイヌの自決権、自治権、土地や領域、資源回復や補償などには触れておらず、国連の宣言とはかけ離れており、アイヌの暮らしと誇りを立て直す内容とはなりませんでした。私たちはアイヌ民族と日本人(和人)の歴史的関係性やアイヌ民族がおかれている現状をもっと知る必要があります。

 幕藩体制下の支配や、アイヌを日本国民にさせる近代国家の政策などの抑圧や差別に抗してきたアイヌ民族の歴史や、伝統的に継承されてきた文化を紹介する本展示の開催が、アイヌ民族の先住権・自決権を尊重し、アイヌ民族をはじめとする多民族・多文化の共生社会を実現する一助となることを願っています。

 最後に、展示の趣旨をご理解いただき、貴重な資料の出展、写真の提供をはじめ、格別のご配慮をいただいた関係諸機関ならびに関係者のみなさまに心からお礼を申し上げます。
               
2021年4月1日
先住民族アイヌのいまを考える会
委員長  淺川 肇
協力・監修 多原良子・出原昌志

※「土人」または「旧土人」は、アイヌ民族に対する差別用語ですが、本展示では歴史的用語として必要な場合のみ括弧つきで使用しました。

WordPress.com で次のようなサイトをデザイン
始めてみよう